Developer's Blog

フェンリルのデザイナーがプロトタイピングの本を執筆しました

こんにちは、共同開発部 UI デザイナーの吉竹です。
本日はフェンリル社員が執筆を行った書籍が発売されるため、そのご紹介をいたします。

キーワードは”プロトタイピング”。

アプリ開発をされている皆様、「プロダクトのゴール、クライアントとうまく共有できないなあ……」とお困りではありませんか?
アプリ開発を依頼されている皆様、「リリースしたアプリ、ユーザーからの反応がよくないなあ……」とお困りではありませんか?

その課題、ひょっとしたらプロトタイピングを行うことで解決できるかもしれません。

今回出版された書籍は『プロトタイピング実践ガイド スマホアプリの効率的なデザイン手法』

書影

本書は Art&Mobile CEO 兼 THE GUILD 代表でもある @fladdict 氏こと深津貴之さんと、弊社共同開発部 デザインチームマネージャー、荻野博章の共著となっております。

なんと!本日発売です!お昼休みに本屋さんへ Go するしかありませんね。

表紙に「いまやプロトタイプ作成は必須」と書かれていますが、私にはどうしてもこれが、お二人がフェニックス一輝のごとく「今やこれは常識!!」と言っているようにしか見えません。

さて、本書の構成は以下の5章となっています。

  • Chapter 01 プロトタイピングの概要
  • Chapter 02 プロトタイピングのプロセス
  • Chapter 03 ペーパープロトタイピング
  • Chapter 04 ツールプロトタイピング
  • Chapter 05 プロトタイピングの実践

ではちょっとだけ、これらの内容を見てみましょう。

Chapter 01 プロトタイピングの概要

1章では、そもそもプロトタイピングとは何ぞや?といった解説から、なぜプロトタイプが必要とされているのか、プロトタイプを作ることでプロジェクトの進め方にどのような違いが出るのか、といった紹介をしています。
プロトタイプを作る目的については、この章のイントロダクションが参考になります。以下に引用します。

Web サイトやスマートフォンアプリの開発がスタートすると、多くの場合は、開発チームが UI 設計書やデザインカンプを作成し、それに基づいてサイトやアプリを実装することになります。

しかし、このフローで開発を進めると、プロダクトがユーザーにとって使いやすいのか、ユー ザーが本当に必要とするものであるかは、実装が完了するまで分からない場合がほとんどです。そのため、プロダクトの最終形が想像できる開発工程の終盤や実装がほぼ完了した時点、実際にプロダクトを世に送り出してから、「使いにくい」「どこに必要な情報があるのか分からない」など、 後戻りできない問題が発覚することが頻繁に発生します。こうした「手遅れ」状態になる前に、問題の早期発見とその解決手法として、「プロトタイピング」が注目を集めています。(P.08 より引用)

いかがでしょうか。これを読んで「たしかに」と頷いた方も多いのではないかと思います。プロトタイピングは組み込みソフトウェアやプロダクトデザインなどでも使われている手法ですが、近年はスマートフォンアプリにもこの流れがきています。
『開発に入る前に十分な検証がしたい』『ユーザーに愛されるプロダクトを早く、確実に出したい』といった声が表面化してきたこと、それに応えるツールやメソッドが成熟してきたことが、アプリ業界においてプロトタイピング熱が高まってきている理由のひとつと言えます。

プロトタイピングへの理解を深め、実践することは、制作側にもクライアント側にも大きなメリットがあるのです。

1章

Chapter 02 プロトタイピングのプロセス

本書では、詳細仕様が詰めきれていない時点で作成されるペーパープロトタイプや、単純な動作モックレベルの「低精度プロトタイプ」を主軸に取り扱います。
2章ではこの低精度プロトタイプを行う前にどのような準備(分析・仮説)が必要か、実際にプロトタイプ作成に入ったら何に気をつければよいか、そしてプロトタイプを作り終えた後、どのようなサイクルでプロトタイピングを行えばよいかが解説されています。

おもしろいのは、プロトタイピングを行う前段階として、想定ユーザーがプロダクトに何を求めているのかをしっかり把握するためのリサーチやペルソナに言及している点でしょう。専門書ほど詳細に書かれているわけではありませんが、馴染みのない人にも手早くわかりやすい解説が助かります。
また、プロトタイプを作成しても、実際に想定しているユーザーからの反応が芳しくなければいくらサイクルをまわしても意味がありません。章の後半では、検証フローを通してユーザーレビューに必要な機材は何か、被験者にどのように動いてもらうべきかなども書かれています。

個人的には『プロトタイピングを行う実施メンバーにはクライアントも想定に入っている』ことが興味深く感じました。
一緒に手を動かして紙を切ったり貼ったりしながら認識合わせをしたり、隠れていた要件を引き出すことで、クライアントも巻き込んだチームとして一体となれる、とのことです。

2章

もちろんメリットがあればデメリットもありますので、バランスを考えて行うべき、と本書はアドバイスもしています。

Chapter 03 ペーパープロトタイピング

3章ではペーパープロトタイピングを行うにあたって必要なツールや、合わせて使いたい、効率と品質を向上させるためのメソッドが紹介されています。

3章

後半の fladdict 式メソッドは、例えプロトタイピングができなかったとしても要件定義の際に非常に役立つものなので必見です。

本章で紹介されているプロトタイピングツールは THE GUILD さんのストアから購入できますので、プロトタイピングを始めようかなと思った方はぜひぜひお買い求めください。

Chapter 04 ツールプロトタイピング

4章ではペーパーなプロトタイプからデジタルなプロトタイプへと変わり、ソフトウェアを用いたプロトタイプ作成を取り扱います。
前半はPOPを用いてペーパープロトタイプから画面上で動作するモックをアプリ上で作成する手順を、後半はBriefsを用いて、もう少し実機に近い動作をするモックを作成する手順が紹介されています。

“POP"
Briefs

特にBriefsは、まだまだ使い方を紹介している記事も書籍も多くありませんので、Briefs難しいなあ。。と放置気味だった方にもおすすめです。
BriefsはMac App Storeで19,800円(!)もする高価なソフトウェアですが、機能制限版が無料で試せます。思った以上に色んなことができるツールですので、まだ使われたことのない方も、ぜひ一度触ってみてください。
また、章の最後ではPOP、Briefs以外の有用なプロトタイピングツール・サービスが紹介されています。

Chapter 05 プロトタイピングの実践

最後の5章では『TiltShift Generator2』『カーシェアリングアプリ』『家具カタログアプリ』『連絡帳アプリ』『会議管理アプリ』の5つを題材とし、ペーパープロトタイプを作るまでの流れを詳細に解説しています。
紙とペンさえあれば誰でも作れるペーパープロトタイプですが、いざ作ろうと思うとどこに気を付ければいいのか、どういう風に考えていけばいいのか、最初はなかなか慣れません。
1章〜3章で書かれたことを改めて振り返りながら、実際の現場でペーパープロトタイピングを行っている著者両名のプロの目線、考え方を学ぶことができます。

5章
5章

 

以上、駆け足の紹介となりましたが、いかがでしたでしょうか。

プロトタイピングを行うには事前準備やサイクルを繰り返す時間が必要ですが、早期に制作チームとクライアントが課題とゴールを共有し、一丸となって進むことができる力を秘めています。さらには開発前により多くトライ&エラーを繰り返すことで、より確実なプロダクトをユーザーの手に届けられることも可能です。

ぜひ本書を手にとって頂き、1人でも多くの方にプロトタイピングに興味を持ってくだされば、そして最終的には実践までして頂ければ幸いです。

さらにはさらには、プロトタイピングを実践しているフェンリルで働いてみたい!と思った方はぜひ採用情報ページもご覧頂ければと思います。

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