こんにちは。アプリケーション共同開発部 開発担当の図子です。
WWDC 2016 を終え帰国しました。今年の WWDC に参加した感想を書いてみます。
Keynote と Platforms State of the Union
Keynote についてはこちらのエントリでも書かせてもらいましたが、メディア向けの発表になります。"Platforms State of the Union" というセッションではエンジニア向けに今年のトピックを Keynote よりも深く説明するものとなります。
前回私が初参加した昨年の WWDC では Swift のオープンソース化の発表が開発者向けのイベントならではのビッグニュースであり一番盛り上がったところでした。今年はそれと比べると開発者的に素直に盛り上がったところは特別なかったように感じました。これには
- 事前にメディアでリーク情報があった
- SiriKit はそこまで自由度が高くない
- CallKit は特定の業界には大きな機能解放だが、一般開発者にはあまり関係がない
のようないろいろな背景があると思います。
iPhone / iOS は当初 Web App のみでネイティブアプリの開発ができなかった頃からはじまり、機能を大幅に制限した状態から徐々に様々な機能が解放・追加されてきました。今回大きな驚きや進化を感じなかったのは裏を返せば iOS が成熟してきているとも言えると思います。
Session
火曜日は6セッション、水曜日は5セッション、木曜日は1セッション、金曜はセッションには参加しませんでした。見に行ったセッションの多くは新機能や刷新された機能を中心としたものでした。個人的に気になったセッションをいくつか取り上げてみます。
watchOS 3 関連
Apple Watch リリース時に watchOS アプリを書いたことや普段から Apple Watch を使っていることもあって気になっている内容です。Apple Watch は売れているとは言えない状況ですし、私の周りでも持っているけど今は使ってないという人がいます。
今回の OS アップデートで起動時間が全般に高速になるそうです。今まで Glance に入れていたような特によく使うアプリは Glance にかわって登場した Dock に入れておくことでさらにはやいようです。サイドのボタンは一等地にあるにもかかわらず呼び出されるのが連絡先ということで正直使い道がないボタンでした。これが Dock の呼び出しに変わることで使い勝手が上がります。
今までユーザーが不満に思っていたような部分を改善してきていて、すでに持っているけど使っていなかった人は watchOS 3 が正式リリースされたらぜひもう一度使ってみてください。
API 的にも Digital Crown の操作を自分独自にハンドリングできるようになったりと自由度が増えました。開発者も Apple Watch 発売当初に作ってみたかったアプリを watchOS 3 で実現できないかもう一度検討してみるのはいかがでしょうか?
Xcode Extensions
ついにというかやっと Xcode の拡張が公式に書けるようになります。コーディング中に長時間触るソフトウェアであるだけに、ストレス無く快適に使いたいわけですが、これまでは非公式な方法で Hack 的にしか拡張を使うことができなかったのでこれは個人的にかなり嬉しいです。既存の非公式拡張機能の作者も今回公開されている API で実装可能なものは公式拡張に再実装されるのではないでしょうか?私もなにかできないか遊んでみたいと思います。
Lab
昨今の WWDC ではセッションビデオはストリーミングだったり、1~3 日中には公開されるようになりました。セッションだけならば高い渡航費などを払う必要がないと言えます。今の WWDC の価値は Lab にあると言っても過言ではありません。今年も社内から質問を集めて Lab でいろいろと聞いてきました。たどたどしい英語にもやさしく Apple のエンジニアは対応してくれるので来年参加したい方はぜひ Lab にチャレンジしてください。
Lab で効率の良く欲しい回答を得るための Tips を紹介します。
- サンプルコードを準備する
- 動作するものがベスト
- 事前に質問事項を英訳しておく
- ノートを持参し、図解する
- 回答が理解できない場合は、Mac を渡して回答内容をそのまま書いてもらう
- 求めるレベル感の解答が得られなければ、もっと詳しい人を呼んでもらう
- もしくは日を改めて再度アタック
- 英語を話す場合は大きな声で明瞭に
- 聞き返されるときは意外と単純に聞こえてないだけという場合もある
外部 meetup
WWDC のもうひとつの醍醐味は、WWDC 開催中に近辺で開催されるさまざまな meetup に参加することです。著名な会社のオフィスにお邪魔することもできたり、同じサービスを使っているユーザー同士で会話できるまたとないチャンスです。私は今年は以下の meetup に参加しました。
- Swift Panel @Realm
- SF 日本人エンジニアの飲み会
- WWDC Uber Happy Hour @Uber
こういったイベントにも Apple 社員が参加していたりするので、Lab 以外でいろいろと話す絶好の機会です。
YouTube デビュー
先日のブログでも backspace.fm の公式スポンサーになったと告知させていただきました がその縁もあり今回 WWDC 参加中にドリキンさんの VLOG に出演させていただきました。
ドリキンさんはサンフランシスコ在住ということで WWDC で初めてお目にかかりました。収録予定の前日に連絡をとろうかなと思っていたところ WWDC の会場内でランチ中にたまたま隣の席に座られて、そこで「はじめまして、フェンリルの図子です。」という感じでびっくりしました。私はそのとき友人3名でランチしていたのですが、ドリキンさんが連れてきた日本人開発者達は、普段行動を共にしていたメンツだったのですごい偶然を感じました。そのときに撮影されたのが以下の動画です。
私はちょうどこのインタビューがはじまる少し前に Lab に参加するため席を外しました。こちらの動画も WWDC の雰囲気がわかる面白い内容になっていますのでぜひチェックしてみてください。
まとめ
今年も移動を含め1週間 WWDC に参加できました。出張として参加させてくれた会社・日本でサポートしてくれたメンバーに感謝です。
初日には少し盛り上がりに欠けたような気がしていて来年は参加しなくてもいいかなと思いましたが、最終的には来年もぜひ参加したいという思いが強いです。まだ、WWDC に参加したことがない iOS アプリ開発者はぜひ来年は参加してみてください。普段の業務や勉強会で得られる刺激とは違うものすごいパワーを得られるはずです。
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