どもっ! デザイン部でディレクターをしている葛巻と申します。
転職してまだ2か月という新米でバタバタしており、
日頃のインプットの大切さを痛感している今日この頃です。
そんなインプットの1つに、大好きなTV番組「アナザースカイ」で
気になる人の仕事っぷりを観るという習慣があります。
中でも、『nendo』の佐藤オオキさんがゲスト出演した回がとても印象的だったので、
少しご紹介させていただきます。
nendo とは? 佐藤オオキとは?
言わずと知れた、世界的デザイナーの佐藤オオキさん。
1977年カナダ生まれの40歳。早稲田の理工学部を卒業後、
大学院の修士課程を修了した2002年に『ミラノ・サローネ』という
世界最大級の家具見本市を訪ねた際に触発されてデザインオフィス『nendo』を設立。
東京とミラノに拠点を持っており、建築・インテリア・プロダクト・グラフィックと
幅広くデザインを手掛け、進行中のプロジェクトは300以上という
超売れっ子のデザイナーです。
アナザースカイでも、『HERMES(エルメス)』や
『LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)』などの
ハイブランドから仕事の依頼がひっきりなしに来ていました。
イタリアの高級ソファメーカー「Minotti(ミノッティ)」の
巨匠デザイナー ロドルフォ・ドルドーニは、
オオキさんに依頼した理由について次のように語っています。
「デザインはもとよりコンセプト力」
「年齢の問題ではなく、成熟の問題でもない」
「その個性が最も興味深いんだ」
オオキさんには他のデザイナーに無い発想ができる
それが、世界各地で重宝される大きな理由なんですね。
では、どのようにして優れたアイディアを生み出しているのでしょうか。
アイディアは身近なものに疑問を持つことから生まれる
ミラノへの渡航回数はざっと数えただけでも200回以上だそうです(凄!羨!)
ですが、観光名所には1回も行ったことはなく、
普通の街にある何気ない物から影響を受けるらしいのです。
例えば、排水口のフタ。
お化粧が施された表面的なデザインではなく、
水や空気を抜いたりする役割をきちっと担いながらも
街の景観を損なわないスタイリッシュなフタに仕上がっている。とか。
また、ジェラートのカップの側面にピタッと当たるようになっていて
中身を掻き出しやすいカーブの効いたスプーンの使い心地が抜群!とか。
どうでもいいところを頑張って、デザインで改善しようとしている部分に
グッとくる性分なんだそうです。
UXデザインやユニバーサルデザインの
アプローチとはどう違うの?
問題の大小はあれど、製品の課題解決やユーザービリティを向上させるアプローチなら
昨今、声高に叫ばれているUXデザインとかユニバーサルデザインのデザイナーの方が
適任なんじゃないかと思いますが、オオキさんのアプローチとは何が違うのかを
ダダっと書き連ねてみました。
UXデザインとは、言わずもがなUser Experience の略であり、
直訳するとユーザー体験のこと。
「モノ」ではなく「コト」のデザインという広範囲に渡ってユーザーの要求を満たす
大きな概念のことです。
ユニバーサルデザインとは、障害の有無や年齢・性別・人種などに関わらず、
最大限可能な限りすべての人々に利用しやすい
製品・サービス・環境をデザインすることです。
どちらのデザインもターゲット層に確実に響くであろう「モノ」を作るために、
リサーチ・設計・テストを繰り返してユーザービリティや体験に優れたプロダクトを
生み出すという上で必要な手法ですし、このデザイン思考を経ずにクライアントへの
提案は成り立ちません。
ただし、論理的に積み上げた条件をすべてクリアしたのが最適解なのであれば、
個性 ≦ 全体最適が優先され、正解がコモディティ化しやすくなるという
デメリットも含んでいるんじゃないかと思うんです。
わかりやすく言うと、女性が結婚したい男性を選ぶ時に
- 名門大学を卒業していて
- 名のある大企業に勤めていて
- 年収がすんごく高くて
- イケメンで
- 高身長で
- 子供が好きで
- 教育熱心で
- しかも、姑の面倒を見ないで良い次男坊!
だから、私はあなたを選びます…みたいな話になり、
人間が本来持つ「直感」や「美意識」などの感性が既読スルーされ
予定調和のモノづくりが加速するんじゃないかと。
一方、オオキさんのアプローチは、
そもそもの起点が人に「!」を感じてもらうことからスタートします。
「!」とは、「コレコレ、こんなのが欲しかった!」
「面白い!こんな発想ってあるんだ〜」 などのポジティブな感情表現のこと。
人の感情に響くから、プロダクトを通じて良い物語(UXで言う「コト」の部分)が
生まれる大きなきっかけを作ってくれる。
理論を積み上げて1つずつ課題を解決することも勿論必要不可欠ですが、
何も関連がなさそうな論理外のところに実は大きな「気づき」や「ヒント」が
隠されていて、デザイナーの数や着眼点だけ可能性が生まれていくような
柔軟なアプローチがUXのそれやユニバーサルデザインとの違いなのかなと思いました。
さいごに
大雑把にまとめると
- UXデザイン → 超大切
- ユニバーサルデザイン → 絶対必要
- 人の感情に響く「!」を与えるデザイン → 人から本当に求められているもの
ということです(テキトーでごめんなさい…)。
決して非論理的に直感に突っ走るということはありません。
「知は力なり−とんでもない。きわめて多くの知識を身につけていても、
少しも力を持っていない人もあるし、
逆になけなしの知識しかなくても最高の威力をふるう人もある。
by ショーペン・ハウエル(ドイツの哲学者)
この言葉を自戒として、さらに良い製品づくりができるよう
良い気づきを意識して取り組んでいきたいと思います。
長文・駄文にお付き合いくださり、ありがとうございました!!
フェンリルのオフィシャル Twitter アカウントでは、フェンリルプロダクトの最新情報などをつぶやいています。よろしければフォローしてください!
フェンリル採用チームの Twitter アカウントです。応募前のお問い合わせや、ちょっとした相談ごとなどお気軽にどうぞ!