普段は主に Sleipnir の開発をしていますが、Microsoft 製品を購入する際には、社内から「オトクに入手する方法はないですか?」などと声がかかります。
さて、今回は Visual Studio 2010 を入手検討中の個人開発者や中小規模の開発者グループ、これから学習しようとしている方々へ朗報です!
完全に新規購入であっても素直に新規購入するのではなく、ひと手間かけることでオトクに入手できる方法がありますので紹介したいと思います。
なお、ここで紹介する方法は、コンプライアンスに準拠しているのでご安心を!
■ 機能と価格
Visual Studio 2010 の機能、および各エディションの比較
http://www.microsoft.com/japan/visualstudio/products/
Visual Studio 2010 の価格に関する情報
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2010/product/price/default.aspx
上記から参考価格を抜粋してみました。
■ どうすればオトクに Visual Studio 2010 を入手できるか
お金に糸目をつけないなら、Ultimate でいいと思います。
ただ、個人での開発やなるべく経費を抑えたい場合であれば、Express を除けば、多くの人の興味は「どうしたらオトクに Professional を入手できるか」に尽きると思います。
結論からいうと、下記の二択になります。
(A) Visual Studio 2010 Professional with MSDN Essentials Subscription (アップグレード優待)
… 6 万 4800 円 (実勢価格 5 万 3000 円程度)
(B) Visual Studio 2010 Professional (Standard Edition 乗り換え優待パッケージ)
… 3 万 9800 円
■ どうやって決めるか
現在、VS2005/2008 Standard Edition を持っていれば、(B) で問題ないでしょう。
ただし、本数限定なのでタイミングによっては入手できないかもしれません。
本記事を執筆している 8/17 時点ではわずかに在庫があるようです。
それ以外の場合は、(A) が最善の選択肢になると思います。
というのも、(A) でアップグレード適用元として、無償の Express Edition を含め、過去の Visual Studio 製品のほぼすべてが含まれています。
そのため、Visual Studio 製品を持っていなくても、Microsoft のダウンロードサイトから Visual Basic 2008 Express などの、Visual Studio 2008 Express Edition をダウンロード入手することで、Visual Studio 2010 Professional アップグレード優待版を購入できます。
Visual Studio 2008 Express Edition with Service Pack 1 のダウンロード
http://www.microsoft.com/japan/msdn/vstudio/2008/product/express/
それ故、下記 (C) を選択肢に含める必要はまったくありません。
(C) Visual Studio 2010 Professional with MSDN Essentials Subscription (新規)
… 12 万 8000 円 (実勢価格 10 万 6000 円程度)
ちなみに、(A) の with MSDN Essentials Subscription とは何ぞや? とお思いの方もいると思います。これは、一年間限定の MSDN Subscription です。
MSDN Subscription は、さまざまな OS やアプリケーションを開発用途で使用する権利で、最新の製品をいち早く使用することもできます。
この with MSDN Essentials Subscription 部分については、通常の MSDN Subscription と異なり、一年経過すると使用権は消滅するようですが、引き続き MSDN Subscription の更新パッケージを適用することで通常の MSDN Subscription として使用できるようです。
なお、この Essentials Subscription は上記 (B) には付帯しないようです。
■ MSDN Subscription のススメ
Sleipnir / Grani は Microsoft Visual C++ で開発しています。
Visual Studio with MSDN Subscription を使用すると、開発に必要な統合開発環境 (IDE) やさまざまな OS やアプリケーションを使用することができます。
MSDN では、ライセンスは「開発者ライセンス」という形態になっていて、ひとつのライセンスが「人」に対して付与されます。
そのため、ひとりで複数の PC を使用したり、仮想環境を使用していたりする場合でもこのライセンスひとつで賄うことができます。
たとえば、OS のライセンス数で考えてみると、
・開発者は 5 人
・開発用の PC は計 7 台
・仮想用のゲスト OS が計 50 個
とあった場合、通常であればインストールした分のライセンスが必要になるので、7 + 50 で 57 ライセンス必要となります。
ところが、「開発者ライセンス」であれば使用する人数分あればよいので、5 ライセンスで事足りるのです。
ちなみに、私が個人的に開発しているタブブラウザ Donut RAPT / Donut Q / Donut L などの開発にもこのサブスクリプションを導入しています。
なお、MSDN Subscription に付随する OS 使用権のライセンス数上限について、
・Visual Studio 2005 with MSDN までは上限が無く、
・Visual Studio 2008 with MSDN では上限が 10 個と規定され、
・Visual Studio 2010 with MSDN では上限は撤回されました。
■ ライセンス (L) とソフトウェア アシュアランス (SA)
MSDN Subscription は、ライセンス (L) とソフトウェア アシュアランス (SA) という区分で扱われています。
ここで、「ライセンス (L)」は、永続的使用権であり、購入後はずーと無期限に使用できます。
一方、「ソフトウェア アシュアランス (SA)」は最新のプロダクトを使用する権利で、有効期限があります。
通常購入時は「L+SA」となり、更新時は「SA」のみを購入することとなります。
もし「SA」の更新期限が切れても「L」の永続的使用権は存続するので、「SA」の有効期間内に入手した製品はそのまま使用し続けることができます。
そのため、「SA」の更新期限が近づいたが「SA」を更新する予定が無いという場合は、その時点で入手できる製品およびライセンスキーをしっかりと入手しておくことをオススメします。
■ おまけ
上記の仕組みを使用すれば、Visual Studio 2010 Professional with MSDN Subscription もオトクに入手することができます。
実勢価格上、Professional with MSDN パッケージ (SA 一年) の新規・更新に関わらず、Essentials アップグレード優待が半額以下になるので、毎年更新する場合でも、MSDN Essentials を使えば、導入した最初の一年の経費を節約できます。
これを機に MSDN Subscription を使ってみてはいかがでしょうか。
※2011/09/20 修正
アップグレード適用元として、Expression 製品と誤記していたのを Express Edition に改めました。
マツザワ様、ご指摘ありがとうございました。