こんにちは。坪内です。
フェンリルでは、代表の柏木が個人でやっていた時代から今に至るまで、いろいろ試行錯誤しながら、こつこつと作り上げてきた「定石」に基づいて、プロダクトの開発、プロモーションを行っています。
私自身、広告会社にいたこともあり、入社した当初は、ユーザー個人個人とのコミュニケーションがこれほどまでに数字に影響するのか、と驚くこともしばしば。
物づくりの奥深さを感じる日々の連続でした。
自分のプロダクトや Web サービスを広めるにはどうすればいいか、悩んでいる人も多いことでしょう。
世の中にあるサービスよりいいものを作ったからといって、ユーザーが増えるとは限りません。また、多くのユーザーに知ってもらえたからといって、サービスが安泰になるわけでもありません。
本日は、フェンリルの定石を個人開発者の視点でいくつか紹介させていただくことで、悩める個人開発者への一筋の光になればと思っています。
なお、文中では、対象をプロダクトや Web サービスとしていますが、自分の Web サイトやブログを広めたいと思っている人にも少なからず参考になると思いますので、どうか自分は無関係と思わず、最後までお付き合いいただけると幸いです。
※定石とは:物事をするときの、最上とされる方法・手順。by コトバンク
ただ自分が使いたいプロダクトや Web サービスを作るだけでも、問題ないと思います。自分がユーザーになる、大切かもしれませんね。
でも、それだけだと広まっていきません。
人から人へクチコミで伝播させる、プロダクトを広めたい個人開発者にとってはこれが生命線ですから。
誰がどのように使うかを、きちんとイメージできているか、重要なポイントです。
リアルでもネットでも自分の周りにいる人の中で、そのプロダクトや Web サービスを利用する人が具体的に思い浮かべられますか?
どんなにいいものでも、使ってもらえなければ始まりません。
膨大な情報量があるインターネットでは、ただ SEO だけで広めることは物凄く困難です。
「使ってくれる人がある程度確保されている」という前提で開発を始めると、意見や感想などのフィードバックも直ぐにもらうことができ、モチベーションにつながります。
開発が完了するまでに、あなたがイメージしているターゲット層にあった人を数人確保しておいてください。
どうやって使ってくれる人を確保するか、これは、何を作るか、ということと対になるものなので、切り離して考えることは出来ませんが、例えば、あなたが何らかのネット上のコミュニティやサークルに属していて、すでに他の人とコミュニケーションが取れている状態なら、これは容易ですね。
また、影響力のあるブログや他のサービスを運営しているのであれば、これも容易に確保出来ると思います。
問題は、ネット上でほとんど他者とコミュニケーションをとっていない場合。
とりあえず、コミュニケーションをとることから始めてみてください。
2ちゃんねるでも Yahoo チャットでも何でもいいです。
自分と同じような興味のある人と交流して、ある程度、相互にコミュニケーションが取れる状態にしておきましょう。
ブログをやっているというだけの人も、本当にブログの読者とコミュニケーション出来る状態かどうか改めて考えてみてください。使ってくれる人はいても、積極的にフィードバックをもらえるかどうかは、わかりません。
最近は、SNSで簡単にリアルの友人とつながることもできます。Facebook や mixi も大いに活用しましょう。
作ったものを広めるためにいろんなメディアやブロガーに情報を送るのもひとつの手ではありますが、採用される確率は物凄く低いでしょう。
地道にやる、これがポイントです。
世の中にはプロダクトを公開できるいろんなマーケット(場所)があります。プラットフォームを問わないものから、特定のプロダクトや Web サービス用のアプリケーションまで、大小様々です。
こういったマーケットを主戦場にするということもひとつの手です。
例を挙げるとすれば、App Store、Androidマーケットなどのスマートフォン用アプリのマーケット、Vector などのオンラインソフト配布サイト、Facebook アプリや mixi アプリ、某ブラウザ向けアドオン・拡張などです。
自分の Web サイトでこじんまり配布するだけでなく、こういったマーケットでの公開も視野に入れながら開発を行うことで、思わぬ広がりを生む可能性は大いにあるでしょう。
ランキングがあるならば、そのランキングを上げることに集中したり、ユーザーのレビューがつくようなものならそのレビューにひとつひとつ丁寧に答えていったりするのも次の広がりを生む有効策だと思います。
ちなみに、Sleipnir も当初は Vector のランキングで一位を取ったり、タブブラウザ普及委員会のような影響力のあるサイトで高評価を得られるように開発していました。
もし、私が個人的に開発者の人に相談されたなら、Facebook アプリをオススメするかもしれません。まだまだ企業のプロモーションアプリが多く、入り込む余地は充分あります。海外アプリも多く、日本人が好きなユーティリティ系のアプリは意外と少ないです。しかも、ユーザーと直にコミュニケーションが取れる、さらに、Facebook に最適化していくことで、ほかのユーザーにどんどん伝播させていくことも容易です。プラットフォーム自体が、アプリケーションの普及の後押しをしてくれるというのは、個人開発者には魅力的ではないでしょうか。
トレンドに応じたプロモーションというのは非常に効果的です。
アルファブロガーやメデイアなどは多くの場合、世の中で注目されている事柄を中心に記事を書きます。その記事で PV が伸びることを知っているからです。
また、twitter 上でもハッシュタグがつけられたり、bot が勝手に ReTweet してくれたりと、トレンドを意識するだけで、広がりが大きくなります。
例えば、Web サービスを作る場合、Flash で作るのではなく、HTML5 で作って、苦労した点をブログやtwitterで発信するといった流れが想像できます。はてなブックマークでもブックマークが付きやすくなるし、それをReTweet する bot や、ブログ検索で特定キーワードのエントリーが公開されたら ReTweet する bot などもいます。
トレンドにうまく乗れば広まりかたも違って来るはずです。広めやすさを意識して開発を始めるのも大切ですね。
ただ、あまりトレンドに乗っかりすぎると、トレンドの衰退とともにプロダクトも衰退してしまうことがあります。
プロダクトがユーザーに提供する本質的な価値の部分は、トレンドに左右されないこと、これも重要ですね。
個人でも簡単にネット広告をだせる時代になりました。ユーザーを増やすために Adwords 広告を検討する人も多いでしょう。
でも、ちょっと待ってください。
あなたやあなたの身近なひとはそのプロダクトを評価してくれていますか?他のひとに紹介してくれていますか?
そうでないなら、広告を出すのは時期尚早だと考えてください。
予算が十分に取れる企業であれば、試しに広告を出してみるということもひとつの手ですが、個人開発者の場合、なかなか自由に、とはいかないでしょう。
広告を出す前に、クチコミが起きる土壌を作ってください。
広告から来る人達はほとんどの場合、あなたのことを知らないでしょう。そのサービスが広告の文言に書いてあるとおり、評価すべきものなのか、そのプロダクトが他と比べてどうなのか比較検討することでしょう。
App Store や Android マーケットでも人のつけた評価は気になります。
ブログでもはてなブックマークがどれくらい付いているか確認することも多いです。
ユーザーに取っては、自分の問題を解決してくれるものがそのプロダクトしかない場合を除いて、客観的評価ほど参考になる情報はありません。
広告を出す前に、客観的評価を増やしましょう。もちろんプラスの客観的評価です。
世の中には、客観的評価の指標となるものはたくさんあります。 Twitter や Facebook 、はてなブックマークなどがそうです。
客観的評価がつくと、広告も有効になってきます。まずは、自分のサービスを使ってくれている人に、客観的評価をつけてもらえるように働きかけましょう。
そうすると、AISAS 理論でいうところの、一番目の S の段階をクリアできます。
A → 広告を見た
I → 興味を持った
S → 検索してみる(イマココ)
A → 良さそうだから使ってみる
S → 良かったから他の人に紹介する
適切な時期に広告を出すことで、広告の効果は何倍にもなるでしょう。
まずは、土壌を作る。これが大事。
広告に頼らなくても、ユーザーコミュニケーションを重視し、プロダクトに磨きをかけていけばユーザーは絶対に増えます。
広告は、自分のプロダクトを広める速度をほんの少し早めてくれる道具、と考えましょう。
ちなみに、Windows 版の Sleipnir の広告を出したことは今までただの一度もありません。
サービスを継続していけば、そのサービスを利用する層も多岐に渡ってきます。
サイトに訪れる人も当初より幅広くなってくるでしょう。
声の大きいユーザーもいれば、ものいわず黙々と利用するユーザーもいます。
インターネットに詳しい訪問者もいれば、初心者もいます。
ユーザーの声を聞くのは非常に大事です。
かといって聞きすぎるのも問題です。
自分のサービスが誰をターゲットにしているのか、よく思いだしてください。
声の大きいユーザーの声ばかり聞きすぎて、サービスがマニアックになっていった結果、もの言わぬユーザーがどんどん離れていってしまったという悲劇を産まないために、常に自分がそのプロダクトの平均的なユーザーであり続けてください。
また、Web サイトの文言やイメージも、改めて自分がそのプロダクトを一から選ぶというシチュエーションを想像してみてください。
専門用語が多すぎる、文字が多すぎてよむ気がしない、スクリーンショットが少なすぎてイメージが沸かないなど、色々見えてくるはずです。
前項で客観的評価について述べましたが、自分が「平均的ユーザーの立場」という客観的視点を持つことも同じくらい大切です。
あなたのプロダクトが他のライバルとどう違うのか、一言で言えますか?
一言で言えないなら、一言で言えるようなプロダクトに変えていきましょう。
Web サイトの文言もそれ中心に組み立てれば統一感も出ますし、ぐんと他の人への紹介もしやすくなります。
プロダクトの方向性にも一貫性が出てきます。
違いを一言で言うためには、ライバルを綿密に調査することも必要です。
競合調査は是非やってください。
以上、まだまだ書き足りないこともありますが、長くなりすぎるのでこのあたりで止めておきます。
フェンリルでは、この数十倍のことを定石として意識しながら、プロダクト開発やプロモーション活動を行っています。全てのプロダクトで全てのことが出来ているかと言われると、至らない部分もあると言わざるをえないのですが、意識するのと意識しないのとでは、雲泥の差だと思っています。
そんな、フェンリルの「定石」の全て、知りたくないですか?
もし、知りたいと思った方がいるなら、こちらをご覧ください。
うまく行けば全ての定石を知ることが出来るかもしれませんよ。
長文に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
P.S.実際にお目にかかれる日が来るのを心待ちにしています。