こんにちは。デザイン部の外薗です。
私は学生時代は建築を専攻していたこともあり、東京都近代美術館で開催されている「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」を観に行ってきました。
日本の伝統・歴史をふまえながら、暮らし・住まいのあり方を考え、日本の建築がどのように変化してきたかを捉える展示会でした。
丹下健三、清家清、黒川紀章を始め、難波和彦等、日本の名だたる建築家の初期の作品も紹介されており、「日本の家」をテーマに建築の大きな流れを感じ取れる内容となっていました。
クライアントと建築家が双方に意見を出し合い、日本の住宅が進化してきた経緯をみていくと、ふと、現在担当しているアプリ開発と重なるものを感じました。
重なる点とはどのようなものでしょうか?
私なりに建築とアプリ開発の類似点を考察してみました。
工程
建築は、クライアントの意向を受けて、建築家・施工・工事と多くの方がが関わりますが、最近では、スマホアプリ開発も、機能も増え、アプリに要求される規模もメンバーも大きくなってきました。
大型案件を、私も担当させていただきますが、最初の要件定義でクライアントの意見をヒアリングし、期間や費用とバランスをとりながら、どうやって形にしていくかが、その後のプロジェクト全工程に影響します。
要件定義・設計
この段階でアプリに入れたい機能、デザインコンセプト、UIデザイン、が明確に具体化していれば、後々、「やっぱりこうしたかった」ということはほとんどなくなります。
また、全てがこの段階で確定できなくても、優先順位がついていれば、多少の調整で済みます。
建物においても、企画、設計の後、基礎や柱など躯体を基本設計の段階で正確に作り、インテリア・エクステリアを作り込んでいきますが、アプリ開発も同じです。
要件定義からアプリ構成を考え、細部を詰めた方が、遷移先に困ったり、アプリ全体のデザインがバラバラになることは少なくなるはずです。
デザイン
スキューモーフィズムが台頭していた頃は、アプリの象徴的なメインの画面をどうするか、そこから逆算して、全体をつめていくという考え方のほうが多かったように感じます。
今もツール系のアプリは、デザイン性を重視した発想の仕方でないと、面白みのないアプリになると思います。
しかし、長期的に利用される大型(特に業務系)アプリとなるとサービスの更新や拡張が常にあるため、デザイン先攻の進め方だと、工期や手間がどんどん膨れあがる傾向があると思われます。
最近のフラットでシンプルなデザインが主流なのも、このあたりを考慮されているのではないかと思います。
シンプルな中にデザイナーのこだわりと工数の効率化をどのように設計するかが重要な観点だと思います。
開発
建築の場合、現場に赴き、躯体や環境の制約を現場監督と打ち合わせしながら計画を進めていきます。
同様に、アプリ開発も、デザイナーと開発者の意思疎通がうまくはかれることで、工期も短くなるでしょうし、全体のクオリティも変わってくると思います。
ここが完全に切り離されてしまうと、調整する人(ディレクターやプロデューサー?)の細かいケアや通訳が必要になってきます。
それぞれ立ち位置と役割は違えど、他の工程把握の理解を深め、工程ののりしろ(フリンジ)を持つことがスムーズな開発に必須だと思います。
運用
無事リリースできてよかった!となっても、アプリはOSのバージョンアップ、様々なユーザーの声等によって、更新は必ず、必要になってきます。建物も老朽化していくように、全くケアされないアプリは老朽化して、いずれ使われなくなっていくことでしょう。心地よいアプリは、心地よい建物のメンテナンスが行き届いているように、常にメンテナンスが必要だと思います。
以上、とっても長くなっちゃいましたね!
プロデューサー・ディレクター・開発者・デザイナー、それぞれミッションと立ち位置が異なるメンバーでプロジェクトを進める時、改めて、リアルな建築に置き換えてみると、関係者みんなの共通理解が深まると思います。