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それもデザインです!仕事と育児の両立方法

それもデザインです!仕事と育児の両立方法

こんにちは。デザイン担当の高取です。
私は育休から復帰して 3 年目のワーキングマザーで、スマートフォンアプリや Web アプリのデザインをしています。

そんな私が時々質問されること、それは

「仕事と育児、どうやって両立してますか?」

この質問、ワーキングマザーばかり訊かれがちですが、仕事と育児の両立が課題なのは、子供がいて働いている人全員ですよね。皆さんは、どうやって両立していますか?

私は「なんとか頑張ってます…」としか言えない状態ですが、育休復帰 3 年目になって、少しずつペースがつかめてくるようになってきました。

今回は、私の仕事と育児の両立方法についてご紹介いたします。

仕事について

私は現在時短勤の制度を利用しており、通常勤務の他のメンバーよりも労働時間が少ないです。しかし、時短であることよりも、1 分たりとも残業ができないことの方が仕事上のインパクトがあります。

けっして残業前提で仕事をしているわけではないのですが、通常、定時退社でも定時後 5 分 〜 10 分くらいは雑務をやったり、呼び止められてちょっと話したりしませんか?
それが全くできません。お迎えの時間が決まっているからです。電車の時間もあるので毎日定時にダッシュです。

もちろん、お迎えを夫に変わってもらえば残業も可能ですが、急な対応となると、お互い頻繁にできるものではないです。

最初は体の感覚がついていかないくて、お迎えの時間になっても仕事をしていて、あわてて保育園に電話したこともありました。それ以来 ” 雑務も入れると他の人の半日分しか働けない ” ことを意識して余裕をもってスケジューリングするようにしています。

また、無理して何もかもを自分でやろうとしないことも大切です。自立とは一人で立つことではなく、助けてくれる人の数を増やすこと。これは家事育児においてもそうですね。

一方で、考える時間は沢山あります。
自転車を漕ぎながら、洗濯をしながら、子供と遊びながらも、デザインのインスピレーションは得られます。実際、アイデアのためのインプットはかなり増えました。
できるだけ考える作業は退社後にして、業務時間は作業に集中します。

正直仕事に関しては、本当に色んな人に助けられています。だからもっと時間以上のもをコミットしていきたいし、それが今の課題です。

家事育児の分担

私と夫は好きな家事が違うので、ゆるく担当は決まっています。
しかし、完全に固定しているわけではありません。固定すると、どちらかが動けないときに回らなくなるからです。

保育園の送迎など、ほぼ固定のものから、手の空いている方がやることまで、タスクによってグラデーションがあります。ただ、どちらも二人のタスク、二人で消化が前提です。

子どもはその時々でパパがよかったりママがよかったりするので、そこは子供の気分に合わせます  ( 歯磨きの仕上げとか、お風呂とか ) 。その時家事は子どもの相手をしていない方がやります。

もちろん、夫婦でやり方は多少違いますが、大枠問題ありません。子供も自分のことは自分でできるように、少しずつ頑張ってます。

こどもはママが良かったりパパが良かったりする

我が家は夫と私の労働時間がさほど変わらないのでこのスタイルですが、どうしてもワンオペ  ( 一人で家事育児をこなさなければならない状態 ) になってしまう場合もあるかと思います。

そんな時は、ワーキングマザー系雑誌が参考になります。例えば雑誌『 CHANTO 』は、いろんな家の生活パターンが紹介されていて面白いです。女性向けではありますが、楽天マガジンでも見られるので、男性にもぜひ読んでほしいです。

参考:『 CHANTO 』主婦と生活社

最初は「 共働きの家事育児 100 タスク表 」などを利用して、タスクを明確にするのがいいかもしれません。

参考:『 共働きの家事育児 100 タスク表 』

100 タスク表は課題を明らかにするものであって、相手を糾弾するためのものではありません。これによって相手を責めたり、自分が責められていると思ったりしてはいけません。家族同士だと感情的なりがちですが、そこはコラボレーションスキルを発揮すべきところ。議論や批評のスキルは家族会議でも磨けると思います。

参考:『 みんなではじめるデザイン批評 』( アーロン・イリザリー / アダム・コナー )

家事の効率化

家事の効率化については、現在出版ラッシュなので参考になる本が沢山出ています。ひと通り読んでみて、自分の家庭にあった効率化方法を模索してみるといいと思います。

結局は何を優先するかです。掃除が適当でもご飯は美味しくキチンと作りたい、掃除や洗濯は好きだけど料理は苦手、など、家族の性格に合わせ、どこを簡略化して、どこに力を入れるかを考えます。

洗濯ひとつとっても、
乾いたものを人別のカゴに仕分けるだけで、たたむのは各自で やる、とか
洗濯物はたたまないで乾いたらハンガーのままクローゼットに収納する、とか
靴下は同じものをいくつも買って、引き出しに放り込むだけ にする、とか
効率化の方法は様々あります。

食洗機や洗濯乾燥機、オーブン、圧力鍋など、作動中に他のタスクを消化できる家電を導入することも、簡単にできる効率化のひとつです。

また、生活はいつも一定でななく “ダメな日” もあります。風邪をひいたり、寝坊したり、なぜかやけに子供がグズったり…いつものように家事ができないと全く回らない仕組みになっていると、ストレスが溜まります。
そんな時も想定して、 “ダメな日” は最低限こうする、など “ダメな日” 用の家事方法を決めておくと良いです。

参考:『 フルオートでしか洗濯できない人の男の家事 』( 五藤隆介 )

参考:『 忙しい人のための家事をラクにする収納 』( 梶ヶ谷 陽子 )

家の中をデザイン

家の中をデザインというと、インテリアを素敵にするとか、統一感を持たせるとか、そんなイメージがあるかもしれないですが、それだけではありません。

” デザインとはよりよく生きるための方法 “

佐藤雅彦さんの著書『 考えの整頓 』の一文で、私の好きな言葉です。

仕事ではデザインだ!人間中心設計だ!って言ってるのに、なぜか家では全然実践できてなかったりするものです。

靴下を洗濯機に入れない、脱いだ靴を揃えない、子供がおもちゃを出しっぱなし、上着がリビングのソファーに脱ぎっぱなし…あるあるです。

「なんでできないの!ちゃんとして!」と思うかもしれません。でも、仕事でデザインするとき「なぜ購入ボタン押さないの!ちゃんとして!」なんて思いませんよね。

上着がリビングのソファーに脱ぎっぱなしなのは、上着が脱ぎっぱなしになるように、家の中がデザインされているからです。ちゃんとハンガーにかけられるデザインを考えましょう。

ここで注意が必要なのは、一人で勝手にやってそれを家族に押し付けないことです。家の中で問題がある場合、まず必要なのは家族へのインタビューです。そのインタビューから課題を見つけ出し、仮説をたてた上で検証します。

たとえば、なぜ上着をリビングに脱ぎっぱなしにするのか。

インタビューをすれば、
上着の定位置が 2 階の自室なのが、遠くて面倒、とか
玄関からリビングまでが寒いので上着を着たままにしたい、とか、
リュックを置かないと上着は脱げないのにリュックの定位置がリビングの奥、とか
早く家族の顔がみたくてとりあえず靴を脱いだらリビングに直行してしまうから、とか
その家庭によって全然違う、色んな理由が見えてきます。

理由が分かったら、それを尊重しつつも上着をちゃんとハンガーにかけられるデザインを模索します。この時、上着は玄関や自室のハンガーにかけるもの、という常識に囚われる必要はないです。家族が実現しやすく、続けやすい方法を考えます。ひょっとしたら、ハンガーにかけない方がいいのかもしれません。

これは、仕事でやっているデザインと変わらないです。

我が家では育休復帰後、家事がまわりやすいように、そして子供が自分のことが自分でできるように、ものを整理して配置を見直しました。

たとえば玄関収納

たとえば玄関収納に、子供専用のロッカーをつくりました 。棚にポイポイ入れるだけの簡単収納です。それだけで、玄関の床に放置していた上着やヘルメットを、子供が自ら片付けるようになりました。

家の中をデザインするって、すごく楽しいです。楽しすぎて、私は整理収納アドバイザー 1 級を取得してしまいました。

生活スタイルは時とともに変わり、子供も成長するので、今までの仕組みが上手く行かなくなってきたら、その都度見直すことも重要です。

…でも、乳幼児にインタビューって難しいですよね。
言葉で伝えてもらえないので、ひたすら仮説をたてて、検証するのみです。
相手がノッてこなければすべて NG …

とはいえ、成功率は上げたいところ。子供の持ち物の整理収納に関しては、保育園が参考になります。前述の玄関収納も、保育園を参考にしました。

保育士さんはとても忙しいです。常に複数人に対してイレギュラーに対応しなくてはならず、やることが山積みです。そのため保育園内は、小さな子が、自分のことが自分でできるように、それも楽しくできるようデザインされています。

たとえば、帽子のかけ方です。

たとえば保育園の帽子かけ

1 歳児は自分のマークが描いてある箱に入れるだけ、2 歳児は大人のように帽子かけにキチンとかける。3 歳児はあえて難易度をあげて紐についたクリップにはさむようにするなど、発達に合わせた工夫がされています。

保育園は、発達心理学の知識があるベテランの保育士さんが何年も仮説と検証を繰り返した結果作られた仕組みが沢山あり、デザイナーにとって宝の山です。

平日の送迎は無理でも、保育園の参観には絶対参加すべきです。保育士さんの子供への声のかけ方も非常に参考になりますよ。

ツールを使って快適に

ツールも色々使っています。

Slack

夫婦で使っています。私は iPhone アプリを入れています。本来の使い方と乖離があるかもしれないですが、すぐ反応がほしい会話ではなく、家族の情報共有用のツールとして利用しています。

寝かしつけしたまま寝てしまい、気づいたら朝、という日々が続くと相談しないといけない議題が先送りになりがちです。

今すぐ見なくてもいいけど、後々決めないといけない、時間のあるときに読んでおいてほしい内容をチャンネル分けして共有しておきます。

Slack使ってます

普通の連絡は LINE 使っていますが、LINE だと流れてしまうものも管理できるので重宝しています。LINE もメッセージの検索やピン留め、スケジュールなど、タスク管理に便利な機能が増えてきたので、保育園の保護者会役員ではよく使っています。

Google Calendar

共通の予定をカテゴリに分けて登録してしています。漏れがないように、登録された予定は、Slack の各チャンネルにも自動で投稿されるようにしています。
また、買い物リストについても予定としてカレンダーに登録します。買い物リスト用カレンダーは ToDo アプリとも連携させていて、そちらで管理します。

Google home mini

音声アシスタントは両手が塞がってるときに使えるのがものすごく便利です。子どもがいるととにかく両手が塞がるのです!

・タイマーとして
 料理の煮込み時間とか、出かける時間とか 複数同時にセットできます。
 スマホと違って両手を使わないので快適です。
 手が汚れていても大丈夫です。

・目覚ましとして
 目覚ましとタイマーは音が違うんです!
 二度寝したい時も「ねえ Google 、5 分後に起こして」で  OK です。

・買い物リストとして
 カレンダーに買い物リストを登録します。 ※ IFTTT 使用
 たとえば料理中に味噌が空になったら、その瞬間に料理しながら
 音声で登録できるので忘れないです。
 後からスマホで登録しようと思っていると忘れます…

・天気予報として
 気温によって子供の服装を調整しないといけないので
 気温と天気はよく聞きます。
 スマホ見ればいいと思うかもしれないですが、
 子供の検温中 ( 保育園児は毎朝検温が必要 ) とか、
    動かないように抑えたりしてて何かと両手が塞がってるんです!

・図鑑として
 動物の鳴き声をきいたり、図鑑的に使えて面白いです。

音声アシスタント使ってます

少しカスタマイズが必要ですが、音声アシスタントは特に乳幼児がいる家にあると本当に便利だと思います。

授乳や排泄の記録をつけたり、音楽をならしたり、抱っこしたまま手を使わないでできるなんて素敵です。もっと早く欲しかった!
※あのピカピカする本体やコードは絶対に齧られるので、乳幼児の手の届かない、かつ視界に入らないところに設置することをおすすめします。

正攻法でうまくいかないときは

特に子供と接してると、押しても引いてもダメなときがあります。
たとえば魔の 2 歳児、イヤイヤ期。
「靴下を履きたくないけど、履いて出かけたい」といったようなパラドックスを孕んだ要望が、無尽蔵に繰り出されます。

成長の証なのだから、本当はとことん向き合ってあげればいいのだけど、出勤時間は非情にも迫ってきます。そんなときはクリエイティビティを活かして切り抜けるのも手です。

子供は何でも遊びにして楽しむ天才だから、靴下を履きやすいように環境をデザインするよりも、自ら靴下を履きたくなるような遊びを開発する方が上手くいったりします。

佐藤 蕗さん という おもちゃ作家 の方が問題解決型のおもちゃをたくさん考案されています。困った時はぜひ参考にしてみてください。

佐藤蕗さん考案の手作りおもちゃ

参考:佐藤 蕗さん考案の問題解決型手作りおもちゃ

我が家は、パンダ風呂、デコベビーカー、しましまトリオ、などなど本当に沢山お世話になっています。

何よりも佐藤 蕗さんの著書にあった、困難がおこった時「どんなおもちゃを作って解決しようか」と発想を転換させるという考え方が、イヤイヤ期を切り抜けるモチベーションになりました。

まあ…それでもダメな時はダメですけどね。

勉強時間について

子供ができると、新しいツールを試したり、技術に関する本を読んだり、勉強の時間を確保するのが難しくなります。

「時間は作るものだ」とよく言いますが、私の場合それは子供との時間を削ることになってしまいます。
睡眠時間を削ってみたこともありますが、体調を崩してしまい、今はやっていません。唯一の勉強時間は往復1時間弱の通勤電車の中だけです。

子供との時間を削ることも、一つの選択ではありますが、私は子供との時間の中で勉強することを選びました。

絵本を読んだり、絵を描いたり、工作したり、粘土で遊んだり。子供への声のかけ方、話の聞き方、何もかもが勉強です。絵本なんて年間 300 冊以上読みますしね。

ツールの習得とは違い、すぐに結果が出るものではありませんが、着実に私の表現の幅を広げてくれていると思います。何よりも楽しいです。

さいごに

仕事もそうですが、ことに妊娠・出産・育児というのは、なかなか予測がつかないものです。どんなに先回りして動いても、想定外が頻出します。思い描いていたイメージとの違いに、戸惑うことも多いです。

私は以前、妊娠中も働いて産休に入って…という漠然としたイメージを持っていました。しかし、実際はつわりがひどく、出産するまでつわりが持続したため、毎日 乗り物酔いの状態が 9ヶ月続き、ほとんど働けませんでした。本当に人によってさまざまです。

家族にも色んな形があります。そして同じ家族でさえ、時とともに変化していくもの。私もまだまだ未熟者ではありますが、今奮闘中の方や、将来共働きを考えている方に、何か参考になるものがあれば幸いです。

寝言:おいもかえして

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